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INTERVIEW|AIに拾われるクリニック ─ Dr.ひろひろに聞く Vol.1

生成AIに引用されるクリニックと、されないクリニック。分けているのは何か

AIO、LLMO、そして「SEOはもう終わり」という言葉。何に手を入れるべきか、判断しにくい時期が続いている。だが、整形外科専門医として臨床に立ったのち、AIエンジニアと医療AIの会社を立ち上げたDr.ひろひろ氏の見方は違った。「SEOは終わっていません。むしろ、いまクリニックは有利な側にいます」。その理由は、AIが何を見ているかにある。(取材・文/ドカリー編集部)

公開:2026-09-04更新:2026-09-09

「SEOはもう終わり」と言われるがGoogle自身は、そう言っていない

患者が情報を探す入口が変わりつつある。検索窓に言葉を入れて上から順に見ていくのではなく、生成AIに聞いて、返ってきた答えをそのまま受け取る。この変化に合わせて、AIO(AI Optimization)、LLMO(LLM Optimization)という言葉も出てきた。

同時に出てきたのが「SEOはもう終わりだ」という言説である。これから自院のサイトに手を入れようという院長にとっては、いちばん困る種類の情報だ。終わったものに投資はしたくない。かといって、何が新しいのかも分からない。

ひろひろ氏は、クリニック向けのSEOサービスを提供する会社の共同創業者である。同時に、クリニック以外の業種のマーケティング支援も手がけている。その立場から見た答えは、はっきりしていた。

Dr.ひろひろ氏

「『SEOはオワコン』という話は、たびたび耳にします。ただ、Google自身がSEOは大切だと発表しています。それに、AIがコンテンツを作ったかどうかより、アウトプットが良質かどうかのほうが重要です」(ひろひろ氏、以下同)

AIOはSEOを置き換えるものではなく包み込む関係にある

ひろひろ氏の整理では、AIOとSEOは入れ替わる関係にない。AIOのほうが大きく、その中にSEOが含まれる。

Dr.ひろひろ氏

「AIにちゃんとピックアップされるようにしたいのであれば、やはりSEOというところが基本になってくるのかな、と今は思っています」

この違いは、投資の判断を分ける。「SEOは終わった、これからはAIO」という前提に立てば、いまサイトに手を入れることは無駄に見える。「AIOの土台がSEO」という前提に立てば、やることの中身は大きく変わらず、評価される軸が動いただけということになる。

POINT

「SEOをやめてAIOに乗り換える」という選択肢は、そもそも存在しない。土台は同じで、上に乗る評価軸が変わったと考えるほうが、実務では迷いが減る。

誰でも記事を量産できるようになり「質」では差がつかなくなった

では、この1年半ほどで何が変わったのか。ひろひろ氏が挙げたのは、書き手の側の変化だった。

Dr.ひろひろ氏

医師でなくても、AIでコンテンツを量産できるようになったわけです。それっぽいことは、いっぱい書けるようになった」

誰でもそれなりの記事を出せるようになった結果、記事の「質」そのものでは差分が出にくくなった。かつては、丁寧に書かれた記事とそうでない記事のあいだに、はっきりした差があった。その差が、いま平らになりつつある。

 これまでいま
記事を書ける人書ける人が限られていた誰でも量産できる
記事の質の差はっきり差がついた差分が出にくくなった
評価の決め手コンテンツの中身誰が作ったか
SEOの位置づけ検索順位のための施策AIに拾われるための土台

※ Dr.ひろひろ氏への取材(2026年9月)をもとに、ドカリー編集部が構成した。

質で差がつかないなら、AIは何を手がかりに、拾う情報を選ぶのか。

質で差がつかないならAIは「誰が書いたか」を見る

この問いへの答えは、ひとことだった。

Dr.ひろひろ氏

誰が作ったか、を見ているんです。クリニックのドメインの評価と、監修を誰がしているか。そこをものすごく見ている」

実例として挙がったのは、あるクリニックの記事だった。記事の末尾に、監修医の顔写真とプロフィールを置いた。本文には手を入れていない。

Dr.ひろひろ氏

その部分を変えただけで、検索の1ページ目に来たりするんですよね。だからもう、権威性に回帰しているなと自分は思っています」

※ 取材時に紹介された個別の事例である。対象の記事数・期間・比較の起点は確認できていない。同じ施策で同じ結果が得られることを示すものではなく、成果を保証するものでもない。

編集部メモ

ここでいう「監修を置く」は、実際にその医師が内容を確認し、責任を持つという前提の話である。監修の実態がないまま名前と写真だけを載せることは、読者に対しても、監修者本人に対しても筋が通らない。
また、自院サイトに載せられる医師の経歴・資格の書き方には、医療広告ガイドライン上の決まりがある。プロフィール欄の記載も広告の一部として扱われる。

ドメインと医師を院内に持つクリニックは、有利な側にいる

ひろひろ氏の会社は、クリニック以外の領域のマーケティング支援も手がけている。その比較のなかで見ると、医療機関の状況は明らかに違うという。

Dr.ひろひろ氏

「実測ベースの話として、クリニックの領域だけ、ほかと比べて明らかにやりやすいです。ポジショントークにはなってしまうんですけど」

理由は、前の章の裏返しである。AIが「誰が書いたか」を見るようになったとき、クリニックは医療機関としてのドメインを持ち、医師という監修者を院内に持っている。これから権威性を用意しなければならない業種とは、スタート地点が違う。

言い換えれば、すでに持っているものを使い切れていないクリニックが多い。院内には毎日、診療という一次情報が積み上がっている。それを誰が書いたか分かる形でWeb上に置けているかどうか。差がつくのは、そこだ。

POINT

いま必要なのは、新しく権威性をつくることではない。自院がすでに持っている権威性を、AIが読み取れる形にすることである。記事の署名、監修者のプロフィール、その医師が誰なのか分かるページ。着手する順番は、そこからになる。

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媒体の優先順位ではなく「名前を、Web上で回す」

ホームページ、note、Instagram、TikTok、X。限られた時間のなかで、どこにどれだけ力を入れるべきか。この問いへの答えは、媒体の優先順位ではなかった。

Dr.ひろひろ氏

いかに自分の名前を、Web上で回すか。Xで検索しても出てくる、ホームページでも出てくる、InstagramでもTikTokでも出てくる。そういう状態をつくることがポイントなんじゃないかな、と」

ひろひろ氏自身が、これを実行している。本人の名前で検索すると、X、ポッドキャスト、書籍の監修、コミュニティと、複数の場所に着地する。「この名前は誰なのか」を、AIが複数の経路から確かめられる状態だ。前章の「誰が書いたか」と、ここでつながる。

「全部やるということですね」と聞き返すと、「そうですね」と返ってきた。ただ、そこで話は終わらなかった。実行の手立てとして挙がったのが、AIを使うか、スタッフに任せるか、という話である。

Dr.ひろひろ氏

「AIを活用して、マルチな媒体で自分の名前をどんどん出していって、回遊させていくのがいいのかなと思いますね」

注意

発信の量を増やすとき、いちばん起きやすい事故が表現の踏み外しである。ビフォーアフター写真、患者の声、「必ず」「No.1」といった断定・最上級。媒体が増えるほど、確認の目が届かない場所が生まれる。量を増やす前に、公開までのチェックの手順を決めておきたい。

記事を1本増やす前に「誰が書いたか」を確かめる

この記事を読んだ院長が、明日から一つだけ手をつけるとしたら何か。取材の内容から、編集部として整理する。

自院のサイトの記事を開いて、「これは誰が書いて、誰が確かめたのか」が読み取れるか確かめてほしい。署名がない。監修者の欄がない。名前はあるが、その人が誰なのか分かるページがない。そのいずれかに当てはまるなら、記事を1本増やすより先に、そこを埋めるほうが早い。

費用もほとんどかからない。必要なのは、その医師のプロフィールを整理し、記事に紐づけ、その医師について書かれたページを1枚つくることだけである。すでに院内にある権威性を、読み取れる形にする。ひろひろ氏の話は、一貫してこの一点を指していた。

Dr.ひろひろ氏

「AIにちゃんとピックアップされるようにしたいのであれば、やはりSEOが基本になってくる。そのうえで、AIが見ているのは誰が作ったかです」

では、その「AIを使う」とは、実際にどこまでのことを指すのか。次回は、ひろひろ氏がAIエージェントを業務にどう組み込んでいるかを聞く。導入したのに使わなくなる人と、続く人。その差はどこにあるのか。

本ページは医療従事者向けの情報提供を目的としています。特定の医療機器・薬剤・製品・サービスの推奨、効果効能の保証、販売・仲介を行うものではありません。記事内の内容は取材時点のものであり、成果を保証するものではありません。自院サイトの表現・監修者情報の記載にあたっては、医療広告ガイドラインおよび関連法規に精通した専門家の確認を前提としてください。
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