「SNSは頑張っているのに、LINEの友だちが増えない」のはなぜか──登録の入口を整える3つの視点
Instagramの投稿を続けていても、LINEの友だちが思うように増えないことがある。そんなときは、SNSの内容だけでなく、来院時の案内まで含めて登録の入口を点検したい。見るべきは、患者に声をかける運用、登録する理由、迷わず進める導線の3つだ。クリニックのLINE運用を支援する株式会社UP代表の二宮詩織氏に、院内とSNSで見直すポイントを聞いた。(構成/ドカリー編集部)
- 友だちが増えない院の共通点は、来院した人に登録を促す決まりがないこと
- 最初にやることは、クーポンではなく「来院した人に100%声をかける」と院で決めること
- 声かけの口実は問診票がいちばん自然。追加の作業を増やさない
- 登録の動機は、割引がいちばん効く。使えない場合は、別のメリットを用意する
- Instagramの入口は3箇所。プロフィール、投稿の最後の1枚、ストーリー
- 毎月追う数字は、新規友だち数とブロック数の2つ
- 声かけ ── 来院した人に、100%登録を促す。院で決める
- 動機 ── 登録した人へのメリットを用意する。まずは割引から考える
- 導線 ── 自院が出しているすべての場所に、LINEへ直接つながる入口を置く
最初に見直したいのは来院時に登録を案内する運用
新規患者がいても、案内しなければ友だちは増えない
LINEの友だちが増えない、という相談は、SNSの運用が弱い院から来るとは限らない。二宮氏が支援の現場で最初に見るのは、SNSではなく、受付である。
二宮 詩織「来院されているのに、LINEに登録していただいていないクリニックが本当に多いんです。通常の運営をされている院であれば、新規の患者様は月に100人から200人くらいが平均だと感じています。その患者様を入れられていないのが、いちばんもったいない」(二宮氏、以下同)
月に100人という数字は、二宮氏が支援先を見てきたなかでの実感であり、統計ではない。院の規模や診療内容によって母数は異なるが、来院者への案内率が低い院では、SNS施策の前に院内の登録導線を見直す余地がある。
現場の工程が多いから、決まっていないことはやらない
受付が登録を案内しない理由は、怠慢ではない。受付には、案内以外の仕事が同時に来ている。問診票をタブレットで書いてもらい、待っている患者に声をかけ、カウンセリングに通し、会計をし、医師の診察の順番を回す。3人が待っていれば、その全部を並行して回している。
その状態で「余裕があればLINEも案内して」と言われても、案内は起きない。二宮氏の言葉を借りれば、現場は「決まっていないことはやらない」。案内するかどうかを受付の判断に任せている限り、忙しい日ほど案内は消える。
順番は、声かけ・動機・導線
友だちを増やす手段は、登録クーポン、SNSからの動線、来院時のスタンプカードなど、いくつもある。二宮氏は、それらに順番をつける。最初にやるのは、来院した人への声かけである。その次に、登録の動機を置く。導線の整備は、その後だ。
この順番には理由がある。来院した人は、すでにその院を選び、時間を使って足を運んだ人である。SNSで初めて院を知った人より、登録に至る確率がはるかに高い。取りこぼしがいちばん少ない場所から埋めるのが、この順番だ。
では、声かけを「決める」とは、具体的に何を決めることなのか。
いちばん先にやることは来院した人に、100%声をかける
クーポンがなくても、声かけは始められる
声かけを始めるのに、準備はほとんど要らない。クーポンを作るのが大変なら、作らなくてよい。「ご登録いただくと、お得な情報が届きます」でも、「問診票にお答えいただくために必要です」でもよい。二宮氏は、口実は何でもよいと言い切る。決めるのは、口実の中身ではなく、全員に言うかどうかである。
「全員に」を「100%」と言い換えると、現場に伝わりやすい。8割の人に案内する、ではない。来院した人には例外なく案内する、と院で決める。そうすると、忙しい日でも案内が受付の手順の一部として残る。
口実は、問診票がいちばん自然
口実のなかで、二宮氏がもっとも多く使うのは問診票である。
二宮 詩織「問診票は、実はLINEと独立していて、LINEで答えなくてもよいものです。ただ、『問診票にお答えいただくために、まずLINEの連携をお願いします』とご案内すると、当たり前のように登録していただけます。これがいちばん多いケースですね」
問診票の記入は、初診の患者が必ず通る工程である。その入口をLINEにすれば、登録の案内は追加の作業ではなく、もともとある手順の一部になる。受付の負担が増えないので、忙しい日でも消えない。電子カルテによっては、LINEと連携した問診の機能を持っているものもある。持っていない場合も、案内の順番を変えるだけで同じ効果は出せる。
| 口実 | 案内の言い方 | 向いている院 |
|---|---|---|
| 問診票 | 「問診票にお答えいただくために、まずLINEの連携をお願いします」 | 初診の問診をタブレットや端末で行っている院 |
| 会計で使えるもの | 「本日のお会計でお使いいただけますので、先にご登録をお願いします」 | 登録の動機(第3章)を用意している院 |
| 予約と連絡 | 「ご予約の変更・確認や、本日の同意書もLINEでご覧いただけますので、ご登録をお願いします」 | 予約の確認や同意書をLINEで渡している院 |
| ポイントカード | 「ご来院のたびにポイントが貯まりますので、ご登録をお願いします」 | 公式LINEのショップカードを設定した院(設計は第3回で扱う) |
| お得な情報 | 「ご登録いただくと、当院の情報が届きます」 | 上の3つが使えない院。弱いので、動機と組み合わせる |
表1 声かけの口実。上の行ほど、受付の手順の中に自然に入る。
声かけ率と登録率で、月の新規友だち数は決まる
来院した人からの登録数は、来院数、声をかけた割合、声をかけて登録した割合の掛け算で決まる。この3つを自院の数字で置いてみると、どこが小さいかが見える。
| 項目 | 自院の数字 | 計算 |
|---|---|---|
| ① 月の新規来院数 | 電子カルテより | |
| ② 声をかけた割合 | 受付に聞く。決めていなければ「不明」 | |
| ③ 声をかけて登録した割合 | 1週間、受付で正の字を付ける | |
| 来院からの新規友だち(月) | ① × ② × ③ | |
| ②を100%にしたとき | ① × 1.0 × ③ |
表2 来院からの新規友だち数の逆算表。②が「不明」の院は、まず②を決めるところから始まる。
②の欄に数字が入らない院は多い。声をかけるかどうかが受付に任されているからだ。②を100%にすると決めるだけで、③が同じでも新規友だちは増える。それでも③が低いなら、次に置くのが動機である。
声をかけるだけでは足りないなら登録の「動機」を置く
登録した直後に、受け取れるものを用意する
声をかけても登録しない人がいる。そのときに効くのが、登録した直後に受け取れるものである。多くの院では、これをクーポンの形で用意している。公式LINEの機能だけでクーポンは作れるので、拡張ツールを入れなくても始められる。
動機は、来院した人への声かけを後押しするだけではない。SNSや検索から来た人が登録するかどうかも、ここで決まる。「登録すると、これが受け取れる」と示せる材料があると、第5章以降で置く導線が働き始める。
資料提供/株式会社UP
金額の実感は、地方と都内で違う
クーポンにする場合、金額は立地や患者層、施術単価によって変わる。二宮氏は、支援先での経験として次のように話す。
二宮 詩織「支援先では、地方の院で2,000〜3,000円、都内では5,000円程度のクーポンを検討することがあります。あくまで私の支援先での感覚で、現金を渡すのではなく、一定額以上のお会計で使えるようにする形です」
これは統計にもとづく相場ではなく、二宮氏の運用経験から得た目安である。金額だけをそのまま採用せず、自院の施術単価や利益、患者層を踏まえて検証する必要がある。
割引が使えない場合は、別のメリットを用意する
動機としていちばん効くのは割引である。ただ、値引きをしたくない院もある。ブランドの見せ方として避けている院や、院長の考えとして価格で動かしたくない院だ。その場合は、登録した人に別のメリットを用意すればよい、と二宮氏は話す。
二宮 詩織「先生のファンで、Instagramはずっと見ているのに、なぜかLINEには登録しない人が絶対にいるんです。その人たちが登録するインセンティブになればよいので、割引でなくてもよい。有名な先生なら、カウンセリング料を少し安くするとか、サンプルをお渡しするとか。何でもよいのですが、登録するとメリットがある、というものを出せたらよいと思います」
| 動機の種類 | 例 | 向いている院 |
|---|---|---|
| 会計で使えるもの | 登録直後のクーポン(条件付き) | 集客を優先する院。表示の場所は第4章で確認 |
| 体験に関わるもの | カウンセリング料を下げる、サンプルの提供 | 医師の指名が強い院 |
| 情報に関わるもの | 施術後のケアの案内、当日の同意書や資料 | 値引きをしない方針の院 |
表3 登録の動機の3種類。まずは会計で使えるもの。方針で使えない院は、下の2つから選ぶ。
どれを選ぶかは、集客したいかと、ブランドをどう見せたいかのバランスで決まる。二宮氏は、この2つのバランスを院ごとに聞いてから、動機の形を提案している。
動機を割引にするなら、表示のしかたを先に確かめておきたい。
割引を使うなら表示の場所と表現を、先に確かめる
価格を強調した表示には注意が必要
医療広告ガイドラインでは、費用を過度に強調する広告や、医療の品位を損ねる表現が問題になる。割引やクーポンが一律に禁止されると単純化はできないが、キャンペーン価格を強く押し出す表示や、実態と異なる二重価格表示には注意が必要だ。ホームページやSNSも、患者を誘引し、医療機関を特定できる内容であれば医療広告に該当し得る。
Instagramのプロフィールなどで「LINE登録でクーポン」と告知する場合は、金額、適用条件、通常価格の根拠、表示期間を含め、公開前に医療広告と景品表示の両面から確認したい。
媒体だけで安全性は決まらない
公開SNS、院内掲示、登録後のLINEでは、情報の届き方が異なる。ただし、「登録後のLINEなら必ず規制対象外」とは言い切れない。誰に、どのような目的で、どの表現を届けるかによって判断が変わるため、媒体名だけで可否を決めないことが重要だ。
割引を使う場合は、院の顧問や医療広告に詳しい専門家へ具体的な画面を見せて確認する。確認が済むまでは、LINEの入口では「予約・相談ができる」「施術や診療日の案内を受け取れる」など、実際に提供する機能を明確に示す方法が安全である。
| 場所 | 割引・クーポンの文言 | 代わりに書けること |
|---|---|---|
| ホームページ | 広告該当性と価格表示を確認 | 「LINEで予約・相談ができます」 |
| Instagram(プロフィール・投稿・ストーリー) | 広告該当性と価格表示を確認 | 「予約はプロフィールのリンクから」 |
| 検索広告・SNS広告 | 事前確認が必要 | 治療内容・費用・リスク等の表示も含めて確認 |
| 院内の案内 | 適用条件を明示 | 受付で誤解のないよう説明 |
| 登録後のLINE | 配信対象と表現を確認 | 媒体だけで規制対象外とは判断しない |
表4 表示場所ごとの確認ポイント。最終的な可否は、実際の表現と配信方法を示して専門家に確認する。
集客とブランドのバランスは、院が決める
割引を使うかどうかは、ガイドラインの制限を確かめたうえで、院が決めることである。集客を優先する院と、ブランドを優先する院で、答えは違う。二宮氏が支援先に提案するときも、この2つのバランスを先に聞く。
動機の形が決まったら、次は導線である。来院した人に声をかけ、動機を置いても、外から来る人にはまだ届いていない。
投稿は見られているのに増えないならInstagramの入口は、3箇所ある
ホームページを経由させると、1つ余計に離脱が起きる
SNSからの流入で、二宮氏の支援先でいちばん多いのはInstagramである。写真も投稿も整っているのに、予約の入口がどこにあるか分からない院が多い、と二宮氏は話す。
二宮 詩織「Instagramで綺麗なコンテンツを出しているのに、どこから予約するのか分からない院が多すぎるんです。プロフィールにホームページのリンクを置くと、Instagramからホームページへ飛んで、そこからさらにLINEやWeb予約へ飛ぶことになる。1つ挟むので、離脱率が高くなります」
患者がInstagramで院を見つけてから予約に至るまでの経路は、短いほどよい。ホームページを間に挟むと、そこで1回、離脱が起きる。プロフィールのリンクからLINEに直接つなげば、その1回がなくなる。
プロフィール、投稿の最後の1枚、ストーリー
二宮氏が支援先のInstagramで必ず置くのは、次の3箇所である。
- プロフィールのリンク ── 複数リンクの機能で、LINEのリンクを置く。ホームページではなくLINEへ
- 投稿・リールの最後の1枚 ── 「予約はプロフィールのリンクから」の解説を1枚、必ず入れる
- ストーリー ── LINEのリンクを付けたストーリーを、定期的に出す
2つめの「最後の1枚」には理由がある。患者のタイムラインには、その院の投稿だけが流れてくるわけではない。ほかの院や、まったく関係のない投稿に混ざって流れてくる。投稿を見て「いい」と思っても、その中に予約の方法が書かれていなければ、プロフィールまで探しに行く人は少ない。次の投稿へ流れていく。だから、投稿の中に入口を置く。
いまは、ストーリーからの流入が多い
3つのうち、二宮氏がいちばん効くと見ているのはストーリーである。
二宮 詩織「投稿はあまり見られなくて、友だちのストーリーを見ている間に、クリニックのストーリーがひょこっと上がってくる、という見られ方だと思うんです。もったいないのが、『今日も開院しました』だけで、予約の動線が何もないストーリーです。それなら『今日の施術はこれです。予約はこちらから』として、ストーリーにはリンクを付けられるので、LINEのリンクを置く。これでかなり上がります。いまは、プロフィールよりストーリーからの流入率のほうが高いですね」
ストーリーは24時間で消える。だから、1回置いて終わりではなく、定期的にLINEのリンク付きのストーリーを出す。施術の紹介や当日の空き状況に、予約の入口を添える形が続けやすい。
二宮氏の支援先で、Instagramの動線をこの形に変えたところ、月の友だち増加数が130人程度から310人程度になった院がある。そのうちInstagramからの流入は、計測上およそ151人だったという。ただし、その院の来院規模と、変更から310人に至るまでの期間は取材で確認できていない。数字は、この施策で流入が大きく動きうることを示す一例として読んでほしい。
資料提供/株式会社UP
| 置き場所 | LINEへ直接つながっているか | 今週やること |
|---|---|---|
| プロフィールのリンク | ホームページのリンクなら、LINEのリンクに差し替える | |
| 投稿・リールの最後の1枚 | 「予約はプロフィールのリンクから」の1枚を作り、以後の投稿に必ず入れる | |
| ストーリー | LINEのリンク付きのストーリーを、週に何回出すか決める |
表5 Instagramの3箇所のチェック表。2列目を自院のアカウントで確かめて埋める。
Instagramの3箇所が埋まったら、同じことを、自院が出しているほかの場所でも確かめる。
Instagramだけでなく自院が出しているすべての場所に、LINEの入口を置く
YouTubeの概要欄に、LINEが貼られていない
Instagram以外の媒体では、置き場所はそれほど多くない。YouTubeなら動画の概要欄、ホームページなら各ページの予約ボタン、Googleのビジネスプロフィールならリンクの欄。二宮氏によれば、YouTubeを出している院でも、概要欄にLINEのリンクすら貼っていないところが少なくない。
それぞれの媒体で、細かい工夫の余地は少ない。貼ってあるか、貼っていないか。二宮氏が支援先に頼むのは、自院が出している媒体を一度すべて開き、予約の導線が載っているかを確かめることである。
一覧にして、貼ってあるかを確かめる
| 媒体 | 置き場所 | LINEの入口があるか |
|---|---|---|
| ホームページ | ヘッダーの予約ボタン、各施術ページの末尾 | |
| プロフィール、投稿の最後、ストーリー | ||
| YouTube | 動画の概要欄、チャンネルの概要 | |
| Googleビジネスプロフィール | 予約リンク、ウェブサイト欄 | |
| X、TikTokなど | プロフィールのリンク | |
| 院内 | 受付、待合、会計、診察室 |
表6 自院が出している媒体の一覧。3列目が空欄の行が、今週埋める場所になる。
院内の掲示も、導線のひとつ
院内も、導線の置き場所である。受付、待合、会計、診察室。声かけが基本だが、待ち時間に患者が自分で登録できるように、二次元コードを置いておく。声をかけたときに「そちらのコードからお願いします」と示せるので、案内も短くなる。
ここまでで、3つの順番はそろう。ただ、導線を整えると、もうひとつの入口が視野に入る。広告である。
広告で集めた友だちと自分で集めた友だちは、違う
流入経路によって、登録後の反応は異なる
友だちを速く増やす方法として、広告がある。LINEの友だち追加を目的にした広告を出せば、数は伸びる。ただし、二宮氏は、広告で集めた友だちと、来院やSNSから自分で登録した友だちを分けて考える。
二宮 詩織「広告をやると、どうしても友だちの質は下がります。ただ、広告の目安になるのは新規の友だちの増加なので、質だけを追求すると人数が下がる。難しいところです。基本的には、ホームページやSNSからオーガニックで入ってくる人のほうが、絶対に予約の確度が高いんです」
二宮氏の支援経験では、来院時やSNS、ホームページから自発的に登録した人のほうが、広告経由の登録者より予約につながりやすい傾向があるという。ただし、広告経由の反応はターゲティングや訴求、登録後の配信設計にも左右される。流入経路ごとに分けて計測し、自院の数字で判断したい。
「質」は、流入経路ごとの数字で捉える
「質の高い友だち」は曖昧な表現なので、流入経路ごとの予約率やブロック率に置き換えて考える。広告経由の数だけを増やすのではなく、来院時やSNSなど、すでに院への関心がある人が登録できる入口を漏れなく整えることが先決だ。
第2章から第6章までの3つの順番は、すべて広告以外の入口である。声かけ、動機、導線を整えることが、そのまま質の対策になる。
広告は、集客の柱のひとつに留まる
二宮氏の支援先では、広告を使いながらも、検索やSNS、口コミサイト、紹介など複数の経路から新規患者を獲得している院が多いという。広告の比重や費用は院によって異なるため、一般的な構成比を置くのではなく、自院の流入内訳を確認する必要がある。
その状況では、広告で友だちを集めるより、すでに入ってきている複数の入口のそれぞれに、LINEへの導線を置くほうが成果につながる。広告を否定するのではなく、順番の問題である。
入口を整えたら、次は数字である。何を毎月見れば、この3つが成果を出しているかが分かるのか。
友だち数の推移だけでは分からないので毎月追う数字は、2つでよい
母集団が多いほど、1配信の効果は上がる
二宮氏は、LINEの友だちを「クリニックの資産」と呼ぶ。友だちが増えるほど、1本の配信が生む予約は増える。同じ内容の配信でも、友だちが500人の院と2,000人の院では、返ってくる予約の数が違う。だから、二宮氏は配信の工夫より先に、友だちの母集団を増やすことを置く。
二宮 詩織「母集団が多ければ多いほど、1配信あたりの効果は上がっていきます。なので、まず有効な友だちをいかに増やすかが、とても大事です。定期的にモニタリングするとよいのは、月間の新規友だち数と、ブロック数。この2つを追って、最終的に友だちの数がどれくらい増えたのかを見ます」
新規友だち数とブロック数
友だち数の合計は、公式LINEの管理画面にいつも表示されている。ただ、合計だけを見ていると、増えた月と減った月の理由が分からない。新規の登録が減ったのか、ブロックが増えたのか。この2つを分けて追う。
| 月 | 新規友だち数 | うち来院からの登録(目安) | ブロック数 | 差し引きの増加 |
|---|---|---|---|---|
| (例:9月) | ||||
表7 毎月追う数字の表。3列目は、受付で正の字を付けた数か、表2の逆算で埋める。
新規友だち数が伸びていれば、声かけと導線が成果を出している。ブロック数が増えているなら、配信の中身や間隔に原因がある。後者は、配信の設計の話になるので、本連載の第3回で扱う。
「有効な友だち」が増えているか
二宮氏が「有効な友だち」と言うとき、指しているのは、友だち数からブロックした人を差し引いた数である。いま配信したら、実際に届く人数と言い換えてもよい。管理画面に出ている友だち数の合計ではない。
だから、新規の登録が伸びていても、同じだけブロックが増えていれば、有効な友だちは増えていない。表7の「差し引きの増加」が、そのまま有効な友だちの増減になる。
あわせて、表7の3列目に来院からの登録数を入れられる院は、声かけが数字として見えている院である。この列が埋まらない院は、声かけの実施を院で決めるところに戻る。
ここまでの3つの順番と2つの数字は、拡張ツールを入れなくても、公式LINEの機能だけで始められる。それでも、全部を一度にやる必要はない。
明日、院で決める一点は「来院した人に、100%声をかける」
3つのうち、最初の1つでよい
声かけ、動機、導線。明日やることは、最初の1つでよい。来院した人に、例外なく登録を案内する。院として、それを決める。クーポンも、Instagramのリンクの差し替えも、その後で足りる。
二宮氏が支援を始めるとき、最初に確かめるのもここである。来院している患者を取りこぼしている院に、外から人を集める施策を足しても、取りこぼしは続く。
受付に伝える言葉は、1つで足りる
受付に伝える言葉は、これだけで足りる。「明日から、来院した方には全員、問診票の前にLINEの登録をご案内してください」。口実は問診票でも、会計で使えるものでも、予約の確認でもよい。全員に言う、という部分だけを変えない。
1週間、受付で正の字を付ける。声をかけた数と、登録した数。その2つが出れば、表2の②と③が埋まり、動機を置くべきかどうかが数字で判断できる。
二宮氏が挙げる、明日からの4つ
二宮氏は、院が明日から始められることとして、次の4つを挙げている。本連載の3つのステップは、この4つを順番に置き直したものである。
- LINE登録でクーポンをプレゼント ── 本記事の第3章・第4章(表示の場所はガイドラインを確認)
- SNSからLINEへの流入の動線を見直す ── 本記事の第5章・第6章
- スタンプカードを実施する(3回来院につながるように) ── 第3回で扱う
- 月に3〜5通、頑張って発信する ── 第3回で扱う
登録の先に、来院がある
友だちが増えても、それだけでは予約は増えない。登録した人が予約に至るかどうかは、登録した直後の7日間で決まる。次回は、その7日間に何を送るか、そして予約までの動線をどう整えるかを見ていく。友だちは増えたのに予約が増えない、という院に向けた回である。
LINEの友だちを増やす前に確かめる8項目
- 来院した人に、例外なく登録を案内すると院で決めている
- 声かけの口実(問診票・会計・次回予約)を、受付と共有している
- 声をかけた数と登録した数を、1週間数えた
- 登録の動機を決めた。まずは割引。使わない方針の院は、別のメリットを用意した
- 割引・クーポンの表示を、医療広告規制や景品表示法の観点から公開前に確認した
- Instagramのプロフィールのリンクが、ホームページではなくLINEにつながっている
- 投稿・リールの最後の1枚と、ストーリーに、LINEの入口を置いている
- 月間の新規友だち数とブロック数を、分けて記録している
よくある質問
LINEの友だちを増やすために、最初にやることは何ですか?
二宮氏は、来院者への登録案内を受付業務の手順に組み込むことを最初の一歩としている。案内率を決め、実施できたかを毎月確認する。
受付が忙しくて、登録の案内ができません。
問診票の記入をLINEの連携から始める形にすると、案内が受付の手順の中に入る。追加の作業ではなく、もともとある工程の入口をLINEにするのが現実的である。
登録のクーポンは、いくらにすればよいですか?
二宮氏が取材で示した金額は支援経験上の例で、一般的な相場ではない。自院の客単価、粗利、利用率から設計し、医療広告規制や景品表示法を含め、実際の表示内容を公開前に確認する。
割引をしたくない場合、登録の動機はどう作りますか?
動機としていちばん効くのは割引だが、使わない方針の院でも、別のメリットを用意すれば足りる。カウンセリング料を下げる、サンプルを渡す、施術後のケアの案内を届けるなど、院の考え方に合うものを選ぶ。
Instagramのどこに、LINEの入口を置けばよいですか?
3箇所である。プロフィールのリンク、投稿やリールの最後の1枚、そしてストーリー。いずれもホームページを経由せず、LINEへ直接つなぐ。
広告で友だちを集めると、質が下がると聞きました。
流入経路によって登録後の反応は異なるが、広告経由が常に低いとは限らない。経路別に予約率、友だち獲得単価、ブロック率を測り、量と反応を合わせて判断する。
友だち数のほかに、毎月見るべき数字はありますか?
月間の新規友だち数と、ブロック数である。この2つを毎月追い、差し引きで友だちがどれだけ増えたかを見る。
(監修/株式会社UP 代表取締役 二宮 詩織)
